さかえばぁちゃん その1

訪問介護をしていたのは5年ほど前になる。

とにかくしんどかった。特におばちゃんが行っていた訪問先は市内だけれども

いわゆる僻地で集落の大半が一人暮らしの高齢者。水道が通ってなくて井戸か山水。

冬は凍結するし雨が降ると濁る。

お風呂は薪で沸かす。台所は土間。ボッタントイレに備え付けの洋式の便座。

レンジや湯沸かし器を使っているお宅は少なくて、寒い時期は辛かった~(´;ω;`)ウッ…

そんな過酷な状況であっても仕事内容は他の地区と同じで決められた時間の中で

サービスを提供をするのは並大抵じゃなかった。

でもね条件が悪い訪問先でも救われてたのが利用者さん達の明るい笑顔。

過疎化している集落では空き家が多くて一軒、一軒が離れていて、しかも多くの家が

坂の上に建てられている。聞くと昔、川が氾濫してその後高台に住まいを移したんだそうだ。だからご近所さんと話するのもついつい億劫になると皆が口にする。だからかどうかは判らないけれども訪問すると「今日初めて人と話した」「今日はあんたが来る日やから朝から待っとった」と喜んでくれる。

 

 

私が大好きだったさかえおばあちゃんは初めて訪問した時既にかなり認知症が進んでいた。

担当ケアマネからは「かなり家の中が荒れていて失禁があり食事も作っていない。愛想はいいが気に入らないと口を聞かない。」と聞いていた。

おそるおそるの初日、さかえばあちゃんの家を訪ねると、昼間なのに雨戸を閉めて寝ていた。

「く、くさい(*_*;!」部屋中おしっこの臭いがする。

 

「こんにちは。市役所から頼まれて様子見に来たんですよ~。布団に入って具合悪いの?」と声を書けた。でも市役所から頼まれたというのは嘘でヘルパーと言っても

中々判ってくれる人が少ないので認知の方には警戒心を持たれないようにする為。

市役所と聞いたさかえばあちゃんはゆっくり動き頭から被っていた布団を目の下までずらしこちらをむいた。

「なぁ、何か食べるもん持ってない?」

「何も食べてないの?」

「うん。作るの面倒くさいんやもん。」

(だから寝てるのか?)

さっそく冷蔵庫をチェックしてみると・・・

ない!

入っているのジャガイモ1個と玉ねぎ半分。

取りあえずそこいら辺を探すとラッキーな事に素麺が出てきた。

急いで素麺を茹でにゅう麺にし、ジャガイモを煮た。

余程、お腹が空いていたんだろう今日初めて逢ったにも関わらずさかえばあちゃん

布団から出てきた。しかも歩かずハイハイで!薄暗い台所でそれはまるで貞子が迫ってくるシーンのようだったよΣ( ̄□ ̄|||)

 

おかげでろくなコミュニケーションも取らずにさかえばぁちゃんとの初対面は成功に終り次回の訪問の約束も無事に出来た。

人は腹が減ると弱くなるんだね(笑)

(食い物でつった)

 

その後まさか7年もばぁちゃんちに通う事になるとはその時には思ってもいませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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