さかえばぁちゃん その2
」
さかえばぁちゃんはとっても小柄で冬はいつも炬燵に潜って寝ていました。
必ずと言っていいほど失禁していて訪問するとまずばぁちゃんの着替えからスタートです。最初の頃は拒否が多くて炬燵から出て貰うだけで一苦労だった。
で、やっと出ると一言こういうのだ
「パンティーとって!」
ばぁちゃんは中々のおしゃれさんで下着もレースがついてかわいいのを履いていた。
けれど、余りにも失禁が多くこのままでは畳やお布団が染みになり尿臭がきつくなる一方だったので気の毒だけれども紙パンツを使用していただくことになった。
紙パンツになるとその違和感とでかさが気に入らないので
交換するたびに
「こんなの嫌!」「パンティがいい」「格好悪い」と文句を言った。
既に脱ぎ捨ててあることもしばしば。
当然その日はズボンまでべたべたで下手すると上着までおしっこまみれだった。
毎回毎回ばぁちゃんを説得し紙パンツにかわいい模様を描きお気に入りのズボンを履いたら濡らさないんじゃないかと、色々努力を重ねた結果、一か月もするとおしっこの臭いがしないこぎれいなさかえばぁちゃんに変身した。
訪問するたびに食事を作ってくれる、それは誰かは判らない。ある日突然現れて、
親し気に話しかけてくる。洗濯も掃除もしていつのまにか散らかっていた部屋が綺麗になった。お金も払わなくていいし、なんかこの人便利やぞ!
多分ばぁちゃんはそんな解釋をしたんだと思われる。
(後にばぁちゃんは私に「娘でもないのにただでこんなんしてもろて、ありがたい。ありがたい。」と手を合わせて言ってくれた)
こうしてさかえばぁちゃんとの信頼関係が徐々に作られていった。